PERONI / ペローニ
フィレンツェから始まったルネサンス、そのルネサンス文化を支えたメディチ家の歴史が今も息づく街で、「ペローニ」は500年前そのままの手仕事を続けている。
ルネサンス文化の継承者
「ペローニ」は、フィレンツェに数多く残された古美術品復元を目的とする「ムセオ・ムセオ」と呼ばれる職人共同体の一員として、ルネサンス工芸の修復にあたる仕事にも携わっている。豪華な革細工の宝石箱や、宝飾品をちりばめ金装飾を施したアルバムなど、ペローニ兄弟の手によって復元された作品は450点余りにも達している。
この歴史的な手工業の技を継承する貴重な工房は、コインケース1つを作るにもまるで美術品を修復するかのごとく、手間と時間を惜しまない。どんなに素晴らしい工芸品も作り手の革新的試みが無ければ時代の変化とともに消え去ってしまう。ペローニは、常に時代のニーズに応え実用性にこだわってきた結果、その品揃えは、宝石箱やアルバム、フォトフレーム、家具に至るまで1000種類にもおよび、80%はイタリア国外の顧客だという。
ペローニファミリー
親子3代に渡る革職人の家系に生まれたペローニ兄弟は、兄ピエロが父の元を離れ修行に出たのが15歳の時、その弟ロベルトも間もなく兄に続き修行に出た。その後、2人は500年前のルネサンスの手工芸を継承する革工芸工房に移り修行を積み、共同でペローニ兄弟工房を興したのは1956年のこと。以後50余年、現在はピエロの2人の息子のマウリツィオとマルコが加わり、下町のカンポマルテに小さな工房を構えながら、トスカーナの革工芸の業界を牽引する役割も担っている。
クラフトマンシップ
彼らの工房で作られるコインケースは、機能性のある独特の丸みのあるフォルムが特徴で、ハンドメイドのぬくもりに溢れている。使い込むほどに深く味わいのある色へと磨かれていくことも魅力。緻密で頑丈、丁寧な仕上げで、驚くことに一切、糸が使われていない。コインケースの素材は1~2才の若い雄牛の皮をフィレンツェ郊外サンタクローチェでなめした最高級カーフ革である。一度濡らし、8時間の乾燥ののち、フォンド(コイン収納部)とパッティナ(蓋)に裁断される。フォンドもパッティナも木型にかぶせられ、極細の釘で仮止めして形が固まるまでさらに8時間乾燥させる。その後、熱テコを使用した手仕事によりなめらかな曲面を成型していくという30工程という手間をかけ、フォンドとパッティナを接着、中に金型をいれて槌でたたいて圧着させる。植物タンニンという生物分解可能な染料で で一つ一つ手作業で染色し、入念に磨き上げて出来上がったコインケースは縫い目も無くまさに一枚皮そのものだ。このような工程を経て作られるペローニのコインケースは、一つ一つの形が微妙に異なる。また、「最高のなめし」と同じ意味として使われるサンタクローチェの革は傷もつけば、色落ちすることもあるが、永く使い込むことで傷も薄れ、艶が増し、渋いアンティーク調へと変化していく。手間を惜しまず、伝統の技をかたくなに守る。物づくりのきびしさと人間へのやさしさが手のひらに伝わってくるようだ。
【フィレンツェ Firenze】 イタリア・トスカーナ地方の中心都市。アルノ川の両岸に発達、中世以来イタリアの学問、文化、美術の都として知られる。15世紀にはメディチ家の支配下に全イタリアの経済・文化の中心となった。有名な建築物。美術品が多く、市全体がルネサンス文化の宝庫である。英語名はフローレンス。
【メディチ家 Medici】 フィレンツェの大金融業者。商業、金融で14世紀に台頭、15世紀に全盛期をむかえ、15世紀末からイタリア諸都市とともに衰退の道を辿った。ルネサンス前期には3代にわたり市政を独裁する一方で、ローマ教皇やフランス王妃各2名を輩出。絶大な富と権力のもとに学者を招き、学院を建てるなど文芸を保護奨励し、ルネサンス文化の大パトロンとなった。
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